拍・拍子・テンポ

第1章へようこそ。最初に学ぶのは、音楽のいちばん底にある リズム のしくみです。 メロディやコードを学ぶ前に、音が「いつ」鳴るのかを数えられるようになっておくと、 このあとのすべての章が一気に分かりやすくなります。このレッスンでは、リズムを 数えるための4つの言葉 — 拍・拍子・テンポ・小節 — を、実際に音を鳴らしながら 身につけていきます。

リズムを「数える」とはどういうことか

音楽を聴いていると、自然と足でトントンとリズムを取りたくなることがあります。 その「トントン」と等しい間隔で刻まれている刻みこそが、リズムの基本単位です。 この刻みを と呼びます。曲の速さがゆっくりでも速くても、拍は常に 一定の間隔で進み、わたしたちはその数を「1・2・3・4…」と数えていきます。

まずは何も考えず、下の音を鳴らしながら「1・2・3・4、1・2・3・4」と 声に出して数えてみてください。一定の間隔で繰り返される刻み、それが拍です。

拍をまとめる枠組み:拍子

拍は「1・2・3・4」と数えると書きましたが、なぜ4で一区切りにするのでしょうか。 それは、多くの曲が 4つの拍をひとまとまり として進むからです。この 「いくつの拍でひとまとまりにするか」という枠組みを 拍子 と呼びます。

このコースで中心に扱うのは、1まとまりが4拍の 4分の4拍子(4/4) です。 ポップスやロックなど、世の中の多くの曲がこの拍子でできています。4/4 では 「1・2・3・4」を繰り返し、1拍目に自然と強さ(アクセント)を感じるのが特徴です。

4/4 の「上の4」は 1まとまりに拍が4つ 入ることを、「下の4」は その拍を 4分音符で数える ことを表します。音価(音の長さ)については次のレッスンで くわしく扱うので、いまは「4拍でひとまとまり」という点だけつかめれば十分です。

ひとまとまりの区切り:小節

「1・2・3・4」の4拍でできるこのひとまとまりを 小節 と呼びます。曲は 小節がいくつも連なってできていて、楽譜では小節と小節の境目を縦線で区切ります。 このあと使うドラムのグリッド(マス目)は、ちょうど 1小節分 を1巡として 表示しています。グリッドが端まで進んで最初に戻る、その1周が1小節です。

曲の速さ:テンポ(BPM)

同じ4/4の曲でも、ゆっくりした曲もあれば、駆け抜けるように速い曲もあります。 この速さを表すのが テンポ です。テンポは「1分間に拍が何回あるか」で表し、 単位は BPM(beats per minute) を使います。たとえば BPM が 120 なら、 1分間に拍がちょうど120回。BPM の数字が大きいほど拍の間隔がつまり、曲は 速くなります。

実際に聴いて・速さを聴き比べよう

それでは、ここまでの言葉を音で確かめます。下には、4/4 の基本的なビートを 1小節分だけ入れたドラムのグリッドを、同じパターンのまま違うテンポで2つ 用意しました。どちらも再生ボタンを押すと「ドン・タッ・ドン・タッ」と 繰り返し鳴りますが、速さだけが違います。

まずは ゆっくり(BPM 80) のほうです。

次は、まったく同じ並び のまま 速い(BPM 140) にしたほうです。 2つの再生ボタンを押して聴き比べてください。

どちらのグリッドも横に8マスありますが、これは1拍を2分割した刻み(後のレッスンで 扱う8分音符)で、2マスでちょうど1拍8マス全体で4拍=1小節 です。 低い「ドン」という音(キック)が1拍目と3拍目に、高く鋭い「タッ」という音 (スネア)が2拍目と4拍目に入っています。鳴らしながら「1・2・3・4」と 数えると、1と3で「ドン」、2と4で「タッ」が来るのが分かるはずです。

ここがこのレッスンのいちばん大事なところです。2つのグリッドは 叩いている内容(パターン)がまったく同じ なのに、テンポ(BPM)が 大きいほうほど速く感じられます。並びは同じでも速さだけが変わる — これが テンポという言葉の意味です。

このレッスンのまとめ

  • … リズムの基本単位となる等間隔の刻み。「数える単位」。
  • 拍子 … 1小節に拍が何個入るかの枠組み。本コースは 4/4 が中心。
  • 小節 … 拍子の1まとまり。グリッドの1巡に対応。
  • テンポ(BPM) … 速さ。1分間あたりの拍数。

これで、リズムを数えるための土台ができました。次のレッスンでは、1つ1つの 音の「長さ」を表す 音価 と、音を鳴らさない 休符 を学び、グリッドの マス目がなぜそう並んでいるのかをくわしく見ていきます。