対旋律の書き方 — 4つの原則

対旋律を書くときに迷わないための原則は4つです。どれも 守らないとどうなるか を 聴けば一発で腑に落ちます。ここでは毎回 1つの要素だけを変えた失敗例 と聴き比べます。

まず基準になる「うまくいっている状態」をもう一度。この音を耳に残してから先へ進んでください。

原則1:リズムを相補にする

主旋律が休む・音を伸ばしているところで動く。 これが対旋律の第一原則です。 2本の線が同時にせわしなく動くと、聴き手はどちらを追えばいいか分からなくなります。

失敗例を聴きましょう。音域もコードトーンも適切なまま、リズムだけ 主旋律に 揃えたものです。

きれいには響きます。でもこれは前のレッスンで聴いた ハモリ です。主旋律の隙間は 空いたまま、曲は動きません。リズムを変えるだけ で、同じ2本目がハモリから対旋律に 変わります。

原則2:音域を離す

主旋律とは違う高さに置く。 対旋律は主旋律の (低い楽器で支える)か (高い楽器で装飾する)に置きます。同じ高さに入ると、2本が混ざって 1本に聴こえてしまいます。

失敗例は、さっきの模範対旋律を1オクターブ上げただけ です。リズムの相補も コードトーンもそのまま、変えたのは音域だけ です。

2本の線に聴こえなくなった はずです。主旋律の続きが、そのままだらだらと 続いているように感じられます。どちらが主役か分からなくなり、主旋律の印象が薄まる — これが音域を離さなかったときの失敗です。

目安として、主旋律とだいたい1オクターブ離す と安全です。この章の模範対旋律は 主旋律(ソ4〜レ5)の下、ラ3〜ソ4 に置いています。

原則3:コードトーンを軸にする

対旋律も和音の上で鳴る以上、その小節のコードトーンを軸にする のが基本です。 共通題材のコードトーンは次のとおりでした。

小節コードコードトーン
1C(I)ド・ミ・ソ
2G(V)ソ・シ・レ
3Am(vi)ラ・ド・ミ
4F(IV)ファ・ラ・ド

模範対旋律は、実はこの表の音を並べ替えただけです。

小節対旋律の音出どころ
1ソ → ミ → ドC のコードトーン
2シ → レ → ソG のコードトーン
3ミ → ド → ラAm のコードトーン
4ラ → ド → ファF のコードトーン

コードトーンだけで書けば、まず外しません。 慣れてきたら、あいだにスケールの 音(非和声音)を通過音として挟むと、より歌らしくなります。第10章でメロディに対して 学んだ考え方が、そのまま2本目にも使えます。

原則4:動きの向きを変える(反行)

主旋律が上がるところでは下がり、下がるところでは上がる。 これを 反行 と 呼びます。2本の線が別方向へ動くと、それぞれが独立して聴こえます。

模範対旋律の前半2小節が、まさにこれです。

小節主旋律対旋律
1ソ → ラ → ド(上行)ソ → ミ → ド(下行)
2レ → シ → レ(下がって戻る)シ → レ → ソ(上行)

反行は「必ず守る規則」ではなく、迷ったときの安全策 です。同じ方向に動かしたい 場面もありますが、2本がずっと同じ方向へ並んで動くと、それは原則1で聴いた ハモリに近づいていきます。

仕上げ:音色を分ける

ここまでは音の並べ方の話でしたが、編曲としてもうひとつ大事なのが 音色 です。 同じ音色で2本鳴らすと、せっかく音域とリズムを分けても混ざります。

  • 主旋律が 歌・シンセリード なら、対旋律は ギター・ピアノ・ストリングス
  • 主旋律が明るく前に出る音なら、対旋律は少し 引っ込む音 を選ぶ

この章の例では、主旋律を synth.poly、対旋律を guitar.clean にしています。 BandPlayer のレイヤーはそれぞれ音色を持てるので、音色の組み合わせも実際に 鳴らして選べます

対旋律を書く4ステップ

  1. 主旋律の隙間を探す — 休符と、長く伸ばしている音の場所に印をつける
  2. 音域を決める — 主旋律の下か上か。だいたい1オクターブ離す
  3. その小節のコードトーンを置く — 隙間に、コードトーンだけで線を作る
  4. 向きを整える — 主旋律と逆方向へ動かし、単体で聴いて歌になっているか確かめる

まとめ

  • ①リズムを相補に — 主旋律の休符・伸ばしで動く(揃えるとハモリになる)
  • ②音域を離す — 同じ高さだと2本に聴こえない
  • ③コードトーンを軸に — その小節の和音の音だけでまず書く
  • ④向きを変える(反行) — 迷ったら主旋律と逆方向へ
  • ⑤音色を分ける — 並べ方が正しくても、同じ音色では混ざる

次はいよいよ章末演習です。固定の主旋律の上に、あなた自身の対旋律 を書きます。