ダイアトニックコードと度数表記

第5章へようこそ。第4章では、ルート・3度・5度を積み重ねた 三和音(トライアド) と、 明るい メジャー三和音 ・切ない マイナー三和音 の作り方を学びました。第3章の スケール と、第4章の コード — この2つがそろうと、いよいよ「曲のコード進行」を 組み立てる準備が整います。その第一歩がこのレッスンです。ここでは、あるキーの スケール音だけから自然に生まれる7つのコード ダイアトニックコード と、それらを 位置で呼ぶための 度数表記(I〜VII) を学びます。

スケールから生まれる7つのコード:ダイアトニックコード

第3章で学んだ C メジャースケールは、C・D・E・F・G・A・B の7音でした。この 7音のそれぞれをルートにして、第4章で学んだ「スケールの上で1つ飛ばしに3音を選ぶ」 やり方で三和音を組み立てると、ちょうど7つのコードができあがります。たとえば D をルートにして1つ飛ばしに選ぶと DFA となり、E からなら EGB となります。

このように、そのキーのスケール音だけを使って積み重ねた7つのコード のことを ダイアトニックコード と呼びます。鍵盤でいえば、C メジャーなら白鍵だけで作れる 7つのコードです。曲のなかで使うコードの多くは、まずこのダイアトニックコードから 選ばれます。だからこそ、最初に覚えるべきコードの「セット」になります。

コードを位置で呼ぶ:度数表記(I〜VII)

ダイアトニックコードには、「キーのなかで何番目のコードか」を表す便利な呼び方が あります。それが 度数表記 です。主音を起点とする1番目を I、2番目を II… というように、主音を I とするローマ数字 でコードの位置を表します。

度数表記のよいところは、キーが変わっても同じ番号で呼べる ことです。実音の コード名(CAm)はキーごとに変わりますが、「キーの1番目のコード = I」という 位置は変わりません。度数は位置だけを表し、実音はキーを決めて初めて対応づきます。

このコースでは、度数表記の書き方を次のように 固定 します。これはコース全体で 共通の最重要ルールなので、最初にしっかり覚えてください。

C メジャーのダイアトニックコード一覧

書き方が決まったので、C メジャーキー(主音 = C)で実際にダイアトニックコードと 度数表記を対応させてみましょう。スケール音 C・D・E・F・G・A・B をそれぞれルート にして三和音を作ると、次の7つになります。大文字・小文字の使い分けと ° に注目 してください。

度数コード名ルート種類(クオリティ)機能
ICCメジャー(maj)トニック
iiDmDマイナー(min)サブドミナント
iiiEmEマイナー(min)トニック系
IVFFメジャー(maj)サブドミナント
VGGメジャー(maj)ドミナント
viAmAマイナー(min)トニック系
vii°BdimBディミニッシュ(dim)ドミナント系

メジャー系の I・IV・V が大文字、マイナー系の ii・iii・vi が小文字、そして 7番目だけは減三和音なので vii° と書きます。C メジャーでは、このように 大文字3つ・小文字3つ・°が1つ という並びになります。この並びは どのメジャーキーでも同じ形になるので、いちど覚えれば他のキーにも応用できます。

7つのダイアトニックコードを順に聴く

表で見たら、今度は耳で確かめましょう。下の再生ボタンを押すと、I から vii° まで I → ii → iii → IV → V → vi → vii°(= C → Dm → Em → F → G → Am → Bdim)の 順に7つのコードを鳴らします。ループ再生になっていて、いま鳴っているコードが ハイライト されるので、度数と響きを目と耳で結びつけながら聴いてみてください。 大文字(メジャー)は明るく、小文字(マイナー)は少し切なく、最後の vii°(ディミ ニッシュ)は不安定でどこかへ進みたくなる響きに聞こえるはずです。

コードの「役割」:トニック・サブドミナント・ドミナント

ダイアトニックコードは、ただ7つ並んでいるだけではありません。進行のなかで それぞれが果たす 役割(機能) をもっています。役割は大きく3つに分けられます。

  • トニック…キーの中心となる、もっとも 安定 した響き。曲の「家」のような 場所で、I が代表です(同じく落ち着く viiii もトニック系として扱います)。
  • サブドミナント…トニックから離れて 変化 を生む響き。IV が代表で、 ii もこの仲間です。話を展開させる役割です。
  • ドミナント緊張 を作り、トニックへ戻りたくなる力をもつ響き。V が代表で、 vii° もドミナント系です。「家へ帰りたい」という引力を生みます。

ざっくり言えば、トニック(安定)→ サブドミナント(変化)→ ドミナント(緊張) → トニック(解決) という流れが、コード進行の基本的な「行って帰る」動きです。 次のレッスンで学ぶ定番進行は、まさにこの役割の組み合わせでできています。

このレッスンのまとめ

  • ダイアトニックコード … あるキーのスケール音だけを積み重ねて作る7つのコード。 C メジャーなら C / Dm / Em / F / G / Am / Bdim
  • 度数表記(I〜VII) … 主音を I とするローマ数字でコードの位置を表す。 大文字=メジャー / 小文字=マイナー / vii°=ディミニッシュ で統一する。
  • C メジャーの対応:I=C・ii=Dm・iii=Em・IV=F・V=G・vi=Am・vii°=Bdim
  • コードの 機能トニック(安定・I)/ サブドミナント(変化・IV)/ ドミナント(緊張・V) の3つの役割。進行は役割の組み合わせでできている。

ダイアトニックコードと度数表記、そしてコードの役割がつかめました。次のレッスン では、これらを組み合わせた 定番のコード進行 を、度数表記つきでいくつも聴いて いきます。