コードバッキングとTAB
前のレッスンで、ギターは 中音域の厚み を担うパートであり、その鳴らし方には ストローク・アルペジオ・パワーコード の3つがあると確認しました。この レッスンでは、それぞれを共通題材の進行に対して 聴き・譜面(TAB/五線)で見て 確かめ、コードネームと構成音の対応、そしてパワーコードと通常コードの使い分けを 学びます。
共通題材は I–V–vi–IV(C メジャー)、コードは小節順に C → G → Am → F、
テンポ 90 BPM の4小節ループです。コードネームの読み方(ルート音名 +
クオリティ表記)は理論編「セブンスコード」(theory-chord/seventh-chords)で
確定したものをそのまま使います。
ストローク:和音をまとめて鳴らす
まずはストロークのバッキングを聴きます。各小節で、そのコードの三和音を 同時に 鳴らした、いちばん素直な厚みの作り方です。
同じストロークを 譜面(TAB/五線) でも見てみましょう。下の譜例は、各小節の 和音にコードネームを併記したものです。耳で聴いた和音と、譜面上の音の重なりが どう対応しているかを見比べてください。
アルペジオ:和音を1音ずつほどく
次はアルペジオです。同じコードトーンを、今度は 1音ずつ分散して 鳴らします。 各小節を4分音符4つに割り、ルート→3度→5度→3度 の山型でコードトーンを たどる例です。ストロークが「縦」なら、アルペジオは同じ材料を「横」(時間)へ ほどいた鳴らし方だと聴き比べてください。
こちらも譜面で確かめます。下の譜例は、各小節のコードトーンを横に並べ、 小節頭にコードネームを併記したものです。同じ C・G・Am・F の構成音が、 ストロークでは縦に重なり、アルペジオでは横に並ぶ——その違いが見て取れます。
コードネームと TAB・構成音の対応
ストロークでもアルペジオでも、ギターが鳴らす音は コードネームから決まる 構成音(コードトーン) です。コードネームは理論編どおり ルート音名 + クオリティ表記 で読みます。共通題材の各コードと構成音の対応は次のとおりです。
| 小節 | 度数 | コードネーム | 構成音(ルート・3度・5度) |
|---|---|---|---|
| 1 | I | C(root C + maj) | C・E・G |
| 2 | V | G(root G + maj) | G・B・D |
| 3 | vi | Am(root A + min) | A・C・E |
| 4 | IV | F(root F + maj) | F・A・C |
コードネームを見れば構成音が分かり、構成音が分かれば、それを 同時に鳴らせば ストローク・1音ずつ鳴らせばアルペジオ になります。譜面上のどの音がどの 構成音かは、上の表と譜例のコードネーム併記を照らし合わせて確認してください。
パワーコードと通常コードの使い分け
最後に、パワーコード(ルート+5度の2音)を聴き、通常の三和音と どう使い分けるかを整理します。下のプレーヤーは、共通題材を各小節 ルート+5度で鳴らしたものです。
通常コード(三和音のストローク)とパワーコードでは、構成音の数が違います。 パワーコードは 3度を省く のがポイントです。
| コードネーム | 種類 | 構成音 |
|---|---|---|
C | 通常の三和音(I) | C・E・G(ルート + 3度 + 5度) |
C5 | パワーコード(I) | C・G(ルート + 5度のみ) |
Am | 通常の三和音(vi) | A・C・E |
A5 | パワーコード(vi) | A・E(ルート + 5度のみ) |
3度は、コードの 明るい(メジャー)/暗い(マイナー) を決める音です。 パワーコードはこの3度を省くので、明暗の色がぼやけ、そのぶん 太くまっすぐで、 歪んだ音色でも濁りにくい 響きになります。使い分けの目安は次のとおりです。
- 通常の三和音を選ぶ … 進行の明暗(C や F の明るさ、Am の切なさ)を はっきり聴かせたいとき。クリーンなバッキングで響きの色を出したいとき。
- パワーコードを選ぶ … 推進力と厚みを優先したいとき。歪ませた音色で 和音をまとめて鳴らしても濁らせたくないとき。サビなどで一気に押したいとき。
共通題材で言えば、たとえば前半は通常の三和音で明暗を聴かせ、盛り上げたい 箇所だけパワーコードに切り替える、といった使い分けができます。どちらが正解と いうものではなく、出したい質感 で選びます。
まとめ:同じ材料を、目的に合わせて鳴らす
ストロークもアルペジオもパワーコードも、材料はすべて コードネームから 決まる構成音 です。和音を縦にまとめれば厚みのあるストローク、横にほどけば 動きのあるアルペジオ、3度を省けば太いパワーコード——同じ進行でも、目的に 合わせて鳴らし方を選べます。次のレッスンでは、この選択を「手順」に落とし込み、 作例を見ながら自分でギターパートを設計していきます。